「病院薬剤師」と聞いて、皆さんはどのような仕事を思い浮かべるでしょうか?
おそらく、
・薬や注射の調剤
・患者さんへの服薬指導
・薬剤の在庫管理
このあたりが、ぱっと思い浮かぶのではないでしょうか。
しかし、病院薬剤師の業務はこれだけではありません。
医薬品の採用、副作用報告、DI業務、抗がん剤の無菌調製、院内製剤、そして電子カルテシステムの設定など、薬剤師が関わる業務は多岐にわたります。
私がここで注目したいのは、**「電子カルテシステムの設定」**です。
自分自身がこの業務に関わっているから、という理由だけではありません。
個人的には、薬剤師が関わる業務の中でも、この「システムに薬学的な知識を落とし込む仕事」は非常に重要だと考えています。
なぜ、薬剤師がシステム設定に関わる必要があるのか?
「システムの作成や設定なんて、IT企業や開発ベンダーに任せればいいのでは?」
そう思う方もいるかもしれません。
確かに、システムを開発・構築するためには、ITやシステムに関する専門的な知識が必要です。
しかし、開発ベンダーが病院で実際に行われている医療のすべてを把握しているわけではありません。
さらに、病院ごとに運用は異なりますし、採用している医薬品や治療方針、処方の流れなども異なります。
そのため、「システムとしてどう設定するか」だけではなく、「医療現場ではどう使われるのか」を理解している人間が必要になります。
一方で、医療現場を知っている薬剤師が、システムについて何も分からなければ、ベンダーと具体的な話をすることも難しくなります。
つまり、ここには一つの問題があります。
医療現場を理解している人と、システムを理解している人。その両方の視点が必要なのです。
薬剤師は薬や処方、患者さんへの影響について考えることができます。
一方で、システムを実際に構築するのは、ITやシステムの専門家です。
この両者の間に立ち、「薬学的にどうあるべきか」を「システム上どう実現するか」につなげる役割が、薬剤師にも求められるのではないでしょうか。
システムを活用して医療事故を防ぐ
電子カルテや薬剤システムは、単に「薬の情報を表示するためのもの」ではありません。
適切に設定することで、処方時のミスを防いだり、薬剤師が確認すべき情報を分かりやすく表示したり、医療者の注意を促したりすることができます。
例えば、
・禁忌となる薬剤の組み合わせを登録する
・用法・用量を適切に設定する
・処方できる薬剤や規格を整理する
・薬剤変更時の情報をシステムに反映する
・クリニカルパスやレジメンに薬学的な内容を組み込む
など、薬剤師の知識をシステムに反映できる場面は数多くあります。
もちろん、システムを設定すれば医療事故がなくなるわけではありません。
設定には限界がありますし、アラートが多すぎれば「アラート疲れ」が起こり、重要な警告まで見逃される可能性があります。
だからこそ、何をシステムに任せ、何を医療者が判断するのかを考えることも重要になります。
本当に使える電子カルテにするために
電子カルテは、導入して終わりではありません。
実際に現場で使ってみると、「ここはこうした方が安全なのではないか」「この設定だと現場では使いにくい」「この情報をもっと簡単に確認できればいいのに」といった問題が出てきます。
そこで必要になるのが、実際にそのシステムを使う医療者の視点です。
特に薬剤に関する部分では、薬剤師が持っている薬学的な知識をシステムに反映することで、より安全で使いやすい仕組みにできる可能性があります。
私は、システムを活用して医療事故を未然に防ぎ、本当の意味で「使える電子カルテ」に育てるためには、医療現場を知る薬剤師が積極的にシステム設定に関わることが重要だと考えています。
今回は、病院薬剤師がシステム設定に関わる重要性について書きました。
次回以降は、実際に私が病院でどのような設定に関わっているのか、また、薬剤師がシステムに関わることでどのような問題を解決できるのかについて、具体的な例を紹介していきたいと思います。
もし、良ければ有識者の方、システム担当者の人がいればコメントいただけると幸いです。
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